所得収支の黒字と円安効果について

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平成18年6月に提出された通商白書/『持続する成長力』に向けて~グローバル化を いかした生産性向上と『投資立国』には、日本の国際収支の現状とこれからについて 多くの指摘が見られます。

その中から、ポイントを挙げるとともに所得収支の黒字と円安効果について 考えてみたいと思います。

まず、注目すべきは所得収支の統計を取り始めた1985年以来、所得収支の黒字幅が 貿易収支を上回った2005年の傾向が続いているということです。

これは、配当や利子で得られる収益が、モノやサービスで得られる収益を上回る傾向が 当分、続くことが予想されます。

日本の誰がどんな形で収益を得ているのかを見てみますと、

対外債権保有社の資産の概算

家計6兆円、非金融法人66兆円、政府111兆円、金融機関196兆円

2005年の所得収支13兆円のうち、

直接投資が2兆3000億円、

証券投資収益が8兆6000億円/約7割が証券投資、そのうち9割が債券投資からの収益

政府と金融機関が大半を占めていることが分ります。政府の保有している対外債権の 大半はアメリカ国債の中長期債でしょう。日本の国債よりも利回りがいいので、公的 キャリートレードを行って少しでも収益をあげてほしいところです。

金融機関の196兆円は、ほとんどが国民の預貯金ですから、上手く運用してもらって 金融機関は預貯金者や株主へ還元すべきですね。

そして、今回の白書から分かる重要なことは、日本は今後はこれまでの「貿易立国」 からいよいよ「投資立国」への道を本格的に歩み始めようとしており、それは個人レ ベルであっても同様のことが言えるということです。

つまり、国内のGDP成長力は人口動態などを考慮に入れてかなりポジティブに見ても 2~3%がせいぜいだと判断できますから、私たちの勤労所得の拡大余地はそれほど多 くなく、もし効率的に可処分所得を増やすことを考えるなら、海外からの配当や利子 に期待する方が賢明ではないかということです。

年功序列は崩れ、世帯収入が頭打ちが予想される今後の日本にいる我々のできる効率 的な資産運用ないし、資産形成は徐々にそのスタイルを変化させる必要があるという ことかもしれません。

さて、ここまでお読み頂いた賢明な読者はもうお分かりだと思いますが、仮に家計が 海外の証券などへ投資しなくとも政府や金融機関、非金融法人は今後も間接、直接を 問わず、海外投資を増加させていくと考えられます。

そして、その傾向が強まれば強まれほど「円安の傾向」が強くなることが予想されます。

「中長期的には円安」、こう語る有識者の方も少なくありません。将来は誰にも分りま せんが海外への投資の拡大は、中長期の円安を拡大させていくかもしれません…。

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